【前編】「Yahoo! JAPAN 第一想起分析」を活用したデジタルブランディング

2021年01月29日

【前編】「Yahoo! JAPAN 第一想起分析」を活用したデジタルブランディング

【シリーズ】Yahoo! JAPANが考える、Withコロナ時代のデジタルマーケティングとは?~ 10

Yahoo! JAPANでは、豊富な量と質のデータを活用したマーケティング活動を支援しています。「消費者理解支援・広告効果分析」ソリューションのうち、「消費者理解支援」の一つである「Yahoo! JAPAN 第一想起分析(以下、第一想起分析)」は、ブランディング効果の可視化を実現します。「第一想起分析」とは何か? 生みの親の一人である、メディアサイエンスチームの寺本に話を聞きました。

第一想起分析とは。また、開発の背景は

ある商品の購入を検討する時に、すでに特定のブランドや商品(名)が思い浮かぶことは多くないでしょうか?

私が以前いた会社では、商品リリース時は莫大な宣伝費をかけて大々的な「ブランディング型」プロモーション、例えばテレビCMやディスプレイ広告などを展開していました。しかし、それ以外の時期は、検索広告をはじめとするユーザーの顕在化したニーズをコンバージョンに結びつける、いわゆる「刈り取り型」プロモーションを実施していました。

当時から疑問に思っていたのが、「大々的なプロモーションは一時だけで、普段は検討を始めた後のリアクティブな広告だけで十分なのだろうか?」という点です。

ヤフーの検索データを調べてみると、多くのユーザーは購入検討開始時にはすでに想定のブランド・商品があり、そのまま購入に至るケースが多いことが分かってきました。つまり、ユーザーが検討開始した時にブランド・商品についてアピールするのでは遅く、検討開始前にどれだけユーザーにブランド・商品について認知されるかが重要です。

そこで、「特定の商品カテゴリーにおける購入検討層が、自社商品や競合商品をどんな順番で検討したのか、検索データを統計的に分析できる仕組み」ができないかという発想から生まれたソリューションが「第一想起分析」です。

「第一想起分析」は、検索の際のブランドや商品、サービスの登場順位を評価することで検討者への想起状況を分析できます。また、広告接触ユーザー群と非接触ユーザー群の想起を比較することで広告効果の評価をすることも可能です。

具体的にはどのようなものか

「もうすぐ商品の購入検討に入る」という潜在状態のユーザー層に、いかにタイミングよく認知向上を図れるかが重要です。

もちろん、全方位のブランディングによって世の中全体に対しブランド・商品の認知をあげステータスを築いておくことは重要です。例えば、ラグジュアリーブランドや高級輸入車は、購入する可能性のない人も含めて世の中の人すべてが「いいブランドである」と思うからこそステータスたりえるのです。

「うちの車も10年乗ったし、もうすぐ車検だから、そろそろ買い替えかな?」「子どもも大きくなって賃貸も手狭になってきたし、そろそろマイホームもいいかも?」など、購入に向けての意識が高まってくると、まだ自分で調べたりしないまでも、車や不動産情報に対する感度が高まります。 つまり、検討する起点の手前でタイミングよく広告を配信することにより、商品に対する想起率を高めることができるのです。

これからのデジタル広告でのブランディングに求められるものは、いかにユーザーの検討の起点の手前で起こる予兆を捉えてターゲティングし事前に認知を高められるかです。

テレビCMは、全方位ブランディングとしては確かにインパクトがあります。一方で、番組指定(タイム提供)もしくは時間帯指定(スポットCM)というざっくりしたターゲティングのため、該当ブランドや商品を購入する可能性が少ない人も対象になってしまいます。

実際に、某自動車メーカーのテレビCM(タイム提供・スポット提供)と、ヤフーで性年代を指定したバナー広告のターゲット含有率を比較したデータを見てみると、バナー広告側で性年代を指定した時点でテレビCMとターゲット含有率に大きな差が出ることが分かります。「検討の手前での認知向上」という観点では、第一想起分析に優位性があるといえるでしょう。

デジタル広告であれば、さらにターゲティングの輪を狭めることができます。

また、とある自動車メーカーのミニバンに関して、「自動車検討をした時に、そのミニバンを第一想起する確率が高いユーザー」の行動属性トップ20を見ると、子育てなどのライフステージ系や、旅行などのアクティビティ系などミニバンを購入しそうな属性が並んでいます。

このようなブランド・商品を想起する可能性の高い潜在層に絞り込んで常にブランディングを行う事で、ユーザーが検討開始する起点の手前で効率的に特定のブランドや商品を訴求することが可能です。

仕組みについて

はじめに、商品カテゴリーを真に検討しているであろう層を定義します。自動車で言えば、複数車種を検討しているユーザーや、購入者が検討するであろう要素(価格、燃費、走行性能、居住性、デザイン、安全性 等)を検索しているユーザー層です。
※興味本位の検索や、「故障」や「修理」など、すでに商品を購入しているであろう検索は除く

「第一想起分析」は、ほぼすべての業種カテゴリーにおいて有用です。特に親和性が高いのが、自動車や住宅、保険などの高関与の商材です。下の図は、商材を縦軸関与度、横軸を検討のされ方によって論理検討と情緒検討に分けるという、FCBグリッド(※)と呼ばれる分類フレームワークです。こちらの分類で右上に分類されるハイブランドや輸入車の様な「情緒型検討商材」に関しては検討商材(上側)ではあるものの「好き・嫌い」のような感覚や情緒が重要で、趣味性の高いユーザーが多く、そういったユーザーに関しては検討期間という概念が存在しません。この場合は別の分析フレーム(関与ファネル)と併用することをお勧めしています。

また、旅行サイトのように「同じ商品を複数のサイトが取り扱う業種」の場合、ユーザーはサイト名で指名するよりも取扱商品名(〇〇ホテルなど)もしくはカテゴリー名(ハワイツアーなど)を指定して検索することが多く、サイト名での第一想起の分析が成り立ちづらいです。そうした場合は、競合サイトも含めて検索からの各サイトドメインへの流出順位を使って第一想起の分析を行います。一見「どれだけそのカテゴリー(ハワイツアーなど)に関して検索エンジンでの表示順位が高いか」というSEOの結果のように見えてしまいますが、検索結果の中に数多く表れる多種多様なサイトの中で勝ち残るには、第一想起の段階で、どれぐらいユーザーからの指名が得られるかが重要です。

後編につづく)

詳しくはこちら(PDF)


<プロフィール>
  • ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズ統括本部
    営業推進本部 販売推進部 メディアサイエンス
    寺本 伸行

※FCBグリッド:アメリカの広告会社FCB社によって提案された、広告のコミュニケーション戦略モデル

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