事例

日産自動車はいかにして顧客を獲得したか。テレビCMと動画広告の併用が生み出す新たな価値

2017年11月28日

これまで別のものとして考えられることが多かった、テレビCMと動画広告。しかしそれぞれの役割が明確になるにつれ、併用することの重要性が分かってきました。テレビとインターネットの同時プロモーションで成功した、日産自動車の戦略について話を伺います。

テレビCMと動画広告の違いは「スクリーン」

複数メディアをいかに併用できるかが鍵
押久保: これまで、テレビCMと動画広告は別と認識されるケースが多かったように思いますが、日産では積極的に併用していますね。

吉野: テレビと動画広告では「スクリーンが違う」という考え方を持っています。テレビCMはいまだに大きな影響力を持っていますが、やはりテレビだけではリーチできないお客様もいらっしゃいます。

押久保: そうですね。メディア側であるYahoo! JAPANとしては、どうお考えでしょうか?

吉田: なるべく多くの方にリーチしたいというのは、どこの企業、どの広告主様でも同じ課題だと思います。テレビCMと動画広告を併用することで、スマートフォンでしか接触できない層、例えば若年層などに広告を届け、リーチを補完することがこれまで以上に重要です。メディアごとに特性も異なりますので、複数メディアにまたがった場合の最適な広告接触回数(フリークエンシー)などについて、調査・分析を行っているところです。実際、さまざまなメディアで重複して接触することには効果があり、大きな態度変容が期待されるといった調査結果も出ています。

押久保: テレビに代表されるマスメディアとインターネット広告は、対立するものとして捉えられることもあったように思います。プロモーション予算を社内で取り合う、といった状況があったとも聞きます。

吉野: 確かに、そういった時期もあったかもしれません。しかし現在は、テレビCMや動画広告、その他のメディアも含めて、どういった比率で配分するのがベストなのかを考えることが重要になっています。予算が決まっていたとしても、状況や商材に応じて変更できるフレキシブルさが必要になっていると感じます。
テレビCMと動画広告に特化していえば、これまでは「予算が少ないから動画広告を作る」といった発想もありました。しかし今では、テレビよりまず動画広告を優先する場合も出ています。これは、テレビCMと動画広告の役割が明確化されてきたからでしょう。テレビCMにしかできないこと、動画広告が得意なことなど、それぞれの役割分担が見えてきた結果ではないでしょうか。

日産自動車株式会社 吉野 浩正氏

強いインパクトで認知や態度変容、サイト誘導に貢献

中長期的戦略を練る上で、結果を残せる広告とは
押久保: 最近の動画広告は、どういったものが主流なのでしょうか?

吉田: 広告の種別によって、ある程度違いがあります。これは主にユーザーの接触時間に関係しており、例えばPC版のYahoo! JAPANトップページであれば比較的滞在時間が長いため、テレビCMのような長さを持つ動画でも相性がいい。一方で、スマートフォンはやはり情報の消費速度が速く、画面がすぐにスクロールされるため、そういったユーザー行動に見合った動画広告が適しているだろうと考えています。

吉野: 日産ではまだテレビCMをそのまま動画広告に転用することも多く、タッチポイントごとのクリエイティブ最適化は今後の改善点だと認識しています。動画を作る上で最も大切なのは、動画を通して何を伝えたいのか、そのために最適なプラットフォームは何であるかを突き詰めることです。その上で、届けたいメッセージを効果的に届けるためには何秒にするべきかという発想が大切です。

押久保: 日産はYahoo! JAPANに動画広告を出稿していますね。

吉田: 日産様に出稿いただいている「Yahoo! JAPAN ブランドパネル トップゲートビジョン(以下、トップゲートビジョン)」は、動画広告の中でも画面占有率が高く、トップページをジャックするような商品です。とはいえ、画面に対する広告の占有率が高すぎるとユーザビリティにも影響します。商品化前に何度もテストと分析を重ね、現在の広告領域や配信量となっています。結果として、認知率や態度変容、またクリック率も高い商品になりました。

ヤフー株式会社 吉田 昭則

押久保: 出稿を決められた経緯は?

吉野: 2017年9月にフルモデルチェンジした当社の電気自動車「リーフ」のプロモーションに当たり、前モデルとはまったく異なる「新しい車」ということを、より多くの方にご理解いただくためにも、インパクトのある方法が必要でした。当社で重視している広告指標のひとつに、ブランド認知があります。さらに、好意度、態度変容にもかなり重きを置いています。総合的に考え、広いリーチを誇り、認知、態度変容に効果の高いトップゲートビジョンでの出稿を決めました。
また、クリック率も、サイト訪問者を増やし後々のプロモーションにつなげていくという意味で重視しています。自動車のような購買プロセスが非常に長い商材の場合、興味関心のある方を広く集め、中長期的にお付き合いをしていく必要があります。そういった際に、トップゲートビジョンは非常に高い効果を発揮する商品だと考えており、フルモデルチェンジの際には毎回出稿させていただきたいほどです。

Yahoo! JAPAN ブランドパネル トップゲートビジョン
※詳細はYahoo! JAPANの広告ギャラリー「アドギャラリー」をご確認ください。

吉田: まさに我々が提供したいと考えていた価値を実現されているのは嬉しいですね。トップゲートビジョンは、Yahoo! JAPANトップページの顔ともいえるニュース枠を押し下げて表示するという、我々にとってもチャレンジングな商品です。チャレンジングだからこそ、商品化に当たり慎重にテストを重ねました。良い結果につながって喜ばしい限りです。

押久保: 日産では、ブランドイメージを大切にしていると聞きます。

吉野: ブランド毀損にはかなり気を使っています。特に、テレビCMと違って媒体が無数にあるインターネット広告では、イメージダウンにつながりかねないサイトに配信されないよう、コントロールは必須だといえます。Yahoo! JAPANであればその心配はなく、圧倒的な安心感がありますね。

吉田: 「アドベリフィケーション」ですね。日本最大級のポータルサイトとして、広告掲載面の品質は重視しており、広告主様のご要望に応えていきたいと思っています。

さらなる見える化で、次世代の接客を実現したい

データドリブンで、お客様の状況に合ったマーケティング最適化を
押久保: 日産では今後、テレビCMや動画広告に関してどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか。

吉野: これまで話してきたような、認知や態度変容といった話題は、カスタマージャーニーの中でも上流部分だと認識しています。実際には、見込み顧客の方に来店していただき、試乗してもらい、購入いただかなくてはなりません。そこまで見える化できれば、さらなる一歩になると考えています。

押久保: それができたら本当にすごいですよね。実現までのハードルはいくつかあると思いますが、一番難しい部分は何だと思われますか?

吉野: マスメディアで接触するユーザーと、デジタルマーケティングで接触するユーザーの同一性を、どれだけ正確に判別できるかではないでしょうか。オフライン、オンラインの垣根を越えてユニークに、さらにはなるべくリアルタイムでそれが把握できるようになれば、より正確な計測ができるようになります。例えばテレビCMを数回見た方に有用なインターネット広告は何なのか、どのような情報を提示すれば最も効果的に来店いただけるかといったことが分かるようになれば、マーケティングは次世代のフェーズに入るといえるのではないでしょうか。
実現はもちろん簡単なことではありませんが、だいぶ可能性は見えてきているようにも感じます。

株式会社翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保 剛氏

押久保: メディアを運営する立場である、Yahoo! JAPANとしてはいかがですか?

吉田: ニーズが高まっている、スマートフォンにおける動画とのタッチポイントを作るのが優先だと思っています。その上で、我々はPCにも多くのユーザーを抱えていますので、クロスデバイスによる最適な広告接触回数などを分析し、広告主様のお手伝いができればと考えています。

吉野: Yahoo! JAPANがビッグデータを利用したソリューション事業の展開を宣言したのは、確か2013年ごろでしたよね。マーケティングは、Yahoo! JAPANのように膨大なデータを持つ企業のご協力がないと実現が難しい領域です。例えば、自動車の購入をまったく考えていなかった層がどういったきっかけで態度変容するのか、ライフステージの変化と車種の関連性など、知りたいことはまだまだあります。ぜひ協業させていただきたいですね。

吉田: 「動く商材」である自動車と動画広告は相性もよく、もっとシナジーを生み出せると考えています。最適なマーケティングの形を目指して、お互い協力していきたいですね。

※当記事は2017年9月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名等は、取材時のものです。

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