事例

認知はテレビ、獲得はデジタル、は本当か。転職サービス「DODA」が転職希望者のマインドをつかむために行ったこと

2018年01月22日

「働き方改革」などが叫ばれ、急速にその姿を変えつつある転職市場。「転職したい」という秘めたマインドをとらえるため、DODAが取った施策とは。テレビCMと動画広告を併用したアプローチについて思いを語ります。

「認知と獲得」という意味での、テレビCMと動画広告

変わりゆく転職市場とニーズの捉え方
押久保: 今回DODAでは、テレビCMの公開と合わせて、同様のクリエイティブをYahoo! JAPANで動画広告として配信されたと伺ったのですが、どういった目的があったのでしょうか。

川跡: DODAは20~40代のビジネスパーソンをメインターゲットとした転職サービスです。ただ、転職を考えるきっかけや意欲が高まる時期は人それぞれ違うため、そのタイミングをつかむのが難しいという課題を抱えていました。それなら、そのマインドが顕在化する前の段階から「転職ならDODA」を印象づけること、実際その時が来たら選んでもらえるブランディング戦略をしたいという思いで実施しました。

押久保: 昨今「働き方改革」といったキーワードも聞きますが、転職市場自体が昔と比べて変わっているのでしょうか。

川跡: そうですね。一昔前は転職=キャリアアップ、給料アップといったことが先行していたように思いますが、最近はワークライフバランスや安定した働き方を求めて転職をする傾向も増えてきているようです。求人倍率が上昇し続け、人材の流動化の高まりがみられる中で、転職に対するニーズの多様化が見受けられます。

押久保: デジタルの強みは、そういった個々のニーズに合わせてメッセージを届けられるところだと思いますが、ヤフーとしてはいかがですか。

井上: おっしゃる通りです。認知のために不特定多数に露出することも大切ですが、ユーザーのニーズや生活が多様化している昨今、的確なターゲットへのリーチは非常に重要です。今回、DODA様のクリエイティブには「条件は、今よりいい会社。以上。」というメッセージがありましたが、多様化しているユーザーに対しても普遍的に刺さるメッセージですよね。そういったターゲットをとらえたメッセージを送ることは、デジタルにおいても目指すべきところではないでしょうか。

押久保: 多様化の話は、私も各所で取材をしていく上でよく聞くようになりました。ユーザーの生活シーンの変化としては、やはりスマートフォンの登場が大きいのでしょうか。

井上: はい。PCからスマートフォン、スマートフォンの中でも特にアプリにユーザーが移行しているのは確かです。一方でフォーマットという観点では、テキストからバナー、そして動画と、同じ表示面積でもより訴求力の高いフォーマットに移りつつある。さまざまなクライアントや代理店とお話をしていても、話題の中心は常に「スマートフォン」「動画」ですね。

押久保: 川跡さん、広告主の立場としてはどう思われますか。

川跡: 転職サービスはレジュメなど比較的多くの入力項目があるため、まだPCもそれなりのシェアがありますが、昨今、情報収集段階での接触デバイスとしてスマートフォンが台頭しているのは間違いなく、そこに対してどうアプローチするかは重要視しています。

押久保: Yahoo! JAPANはPCとスマートフォン双方で多くのユーザーを抱えていらっしゃいますが、今後は後者に注力していくのでしょうか。

井上: いくらスマートフォンが成長しているとはいえ、PCがなくなるわけではありません。同様に、テレビの力も依然とても大きなものです。テレビCMはストップ、PCもやめてスマートフォンだけにするといった話ではなく、すべてのチャネルをうまく活用しながら適切にプランニングできることが重要だと思います。

パーソルキャリア株式会社 川跡 正博氏

動画広告には特有の影響力がある

独自の指標・評価軸の必要性
押久保: そういった目的、狙いの中で、今回DODAではYahoo!プレミアム広告「Yahoo! JAPAN プライムボード(以下、プライムボード)」とYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の「動画広告」を利用されたと伺ったのですが、経緯を教えていただけますか。

川跡: 当社では、認知・ブランディングの強化にWeb広告を活用できていないという課題がありました。今年度はこれまでと違うメッセージを届けたいという思いもありましたので、広く深くユーザーにメッセージを伝えるためにも、Webで動画広告をフル活用していこうと決めました。

押久保: これまでも獲得目的ではYahoo! JAPANの広告を活用されている中、認知でも使っていこうということですね。井上さん、こういうお話は他のクライアントからもありますか?

井上: はい。これまでは、宣伝部などがあらかじめテレビとデジタルに予算を分け、認知はテレビ、獲得はデジタルという形が多かったように思います。しかし、ユーザーの接触時間においてスマートフォンの存在が日に日に大きくなる昨今、認知に関してもそちらにシフトしていくのは必然かもしれません。

押久保: この辺りの組織的な話、DODAではいかがでしょうか。

川跡: 当社では以前から、テレビとWebの担当が同じグループにいたためそれほど違和感はありません。ただ、それぞれが担うミッションはやはり微妙に異なりますので、これからはより密な連携をしようといった議論が増えています。

株式会社翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保 剛氏

押久保: 広告の話に戻るのですが、端的に、静止画と動画ではどこが最も違うと思われますか?

川跡: 一番はやはりクリエイティブ面だと思います。盛り込める情報量、描けるシーンは静止画と動画では大きく違ってきます。運用ベースでは、動画広告は単価で計算するとどうしても静止画より高くなりがちという点が挙げられます。そのため、特に数字だけを見た人には、費用対効果で換算すると効率が悪いのではないかという印象を持たれてしまう。確かに投資はかかるのですが、その分静止画とは違う効果があることをしっかり可視化して示す必要があると思います。そのためには、動画広告独自の指標・評価軸が必要ではないでしょうか。

押久保: そういった指標は、ヤフーではどのように捉えていらっしゃるのでしょう。

井上: テキストやバナーだと、インプレッション、クリック、コンバージョンといった指標がありますが、動画はそれ以外にも、最後まで視聴された割合、途中までなら何%見られたのかといったデータが出てきます。ご指摘のとおり動画広告の効果検証にあたっては単価や従来の指標のみでは充分な評価はできず、今後はこれらに加えて、広告接触者へのブランド認知や好感度、態度変容への影響をより簡便に測れるようソリューションを提供していきたいと考えています。

Yahoo! JAPAN プライムボード (2017年9月実施時)
※詳細はYahoo! JAPANの広告ギャラリー「アドギャラリー」をご確認ください。

種類豊富な動画広告には、それぞれに戦略が必要

インパクトと受け入れ先で一貫性のあるコミュニケーションを
川跡: プライムボードとYDNの2種の動画広告の出稿にあたっては、YDNで広くユーザーにリーチすること、そしてプライムボードで深く伝えることを目的としていました。結果、当初の狙いどおりYDNでは多くのリーチを得て、一方プライムボードでは動画の視聴やクリックで高い効果が見られました。

押久保: プライムボードはPCのページ上部に、YDNの動画広告はスマートフォンのタイムライン型のコンテンツの間に表示されるわけですが、この両者で違いはあるのでしょうか。

井上: Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋などの記事詳細ページに掲載されるプライムボードは、ある意味でテレビCM的といいますか、時間的余裕がある際にじっくり見る可能性が高い商品だと思います。占有面積が高いこともあり、上部の広告にも注意がいきやすいといえます。一方YDNの動画広告はスマートフォン版Yahoo! JAPANトップページなどのタイムラインに掲載されますが、ここではユーザーは隙間時間の暇つぶしに何か面白いものはないか探している傾向があります。この場合、ユーザーに目を留めてもらうためには、やはり動画の冒頭で関心を引き付けるようなビジュアルやメッセージが必要になるのではないかと思っています。今回DODA様はテレビCMと同様のクリエイティブを利用されたわけですが、その意味では前者との相性がよりよかったのかもしれません。

川跡: おっしゃる通りで、われわれも今回の件で学んだことは多くありました。今回は新しいメッセージと世界観を一貫して伝えるため共通のクリエイティブを利用しましたが、掲載面や広告フォーマットの相性を踏まえてクリエイティブを最適化する必要性を感じています。加えて、興味関心を持ってくれたユーザーの受け入れ先も重要です。例えインパクトのあるメッセージに興味を持ってくださったとしても、受け入れ先で一貫性のあるコミュニケーションを描けなければ、ミスマッチで離脱してしまう。広告とその受け皿をしっかりそろえた戦略が必要だと感じます。

ヤフー株式会社 井上 真吾

押久保: 今後のDODAのマーケティングとキャンペーンに関する展望をお聞かせください。

川跡: 冒頭に申し上げたとおり、ユーザーの転職マインドは多様であるため、それぞれのユーザータイプに合った多様な情報を届けたいと思っています。Web動画においても、特有の表現を突き詰め、発信した情報を通じてユーザーがサービスを知り、関心を持ち、利用すべきときが来たら活用していただけるよう、マーケティング活動に取り組んでいきます。
そのためには、日本国内最大級のリーチを誇るYahoo! JAPANの広告の活用は欠かせないと思っていますし、Yahoo! JAPANのビッグデータにも将来性を感じています。ヤフーさんとは多くの成功事例を、ぜひ一緒につくり上げていきたいですね。

井上: 認知やブランディング、態度変容など、それぞれのフェーズで効果を発揮する動画広告をマルチデバイスで活用いただけるよう、商品ラインアップを拡充していきます。2017年12月から、Yahoo! JAPANトップページに掲載される動画広告商品である「ブランドパネルビジョン」を、スマートフォン版でも展開を開始しました。圧倒的リーチを誇るスマートフォン版Yahoo! JAPANトップページで、ファーストビューに動画広告を掲載し、インパクトのある訴求が可能です。

井上: 今後は、PC、スマートフォンのブラウザ、アプリとあらゆる接点において、動画広告商品の拡充や、掲載面の拡大を進めていきます。そこにYahoo! JAPANのビッグデータを活用し、デバイスを跨いだトータルのプランニングを実現させることで、非常に高い広告効果を出せるのではないかと考えています。広告主様やパートナー企業様と連携し、効果を最大限発揮できる広告プランニングを模索していきたいです。

押久保: 国内最大級のポータルサイトが目指すマルチデバイス戦略、今後の展開が楽しみですね。


※個人名、企業名等の敬称略、順不同。
※当記事は2017年11月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名等は、取材時のものです。