トランスコスモス株式会社

「people & technology」で挑む、運用体質改善

2019年03月28日

日々数百~数千のアカウントを運用している広告代理店では、各担当者のスキルによってその運用手法に違いが出てしまうことがあります。ヤフーの認定パートナーであるトランスコスモス株式会社も同様の課題を抱えていました。
今回は、ヤフーと連携の上、アカウントの改善ポイントをよりわかりやすく可視化するメソッドを内製し、運用担当者の“個性”を大事にしながらも、代理店全体でより高いレベルで運用スキルの標準化に成功した同社の事例についてご紹介します。

属人的なアカウント運用が課題


- トランスコスモスでアカウント運用にかかわるスタッフは東西拠点も含めて数百名。個々の経験値に頼りがちなアカウント運用については、どのような課題がありましたか?

トランスコスモス 磯島氏

トランスコスモス 磯島氏(以下、磯島氏):
弊社も運用手法が属人化していることが課題でした。人によってアカウント構成が違う、そのため実施すべき施策の優先度の判断が分かれることも...。それらの解決のために組織組みから見直しました。プランナー経験者を起用して人材育成に特化した部門をつくり、運用担当者が必要なスキルセットを共通のカルテを用いて可視化するなど、教育体制の充実を図っていました。
一方で決め手となるアカウント運用のルール作りは難航しておりました。そんなとき、ヤフー様から正式に最適なアカウント構造や重要な指標が開示されたんです。ヤフーの皆さんから推奨手法をいただけた事で、アカウント構成や運用基準ルールの統一化、更には定量評価基準やそれの可視化診断メソッドなど様々なものが一気に動きだしました。

ヤフーが推奨する運用手法×トランスコスモスの知見でプロジェクトを推進


- 具体的な内容とそのポイントとは?

ヤフー 酒向(以下、酒向):
ヤフーでは2018年から、媒体アルゴリズムをベースにした運用水準をはかる物差しを用意し、運用成果に繋げる取り組みを推進してきました。「アカウント構造」「入札価格」「ターゲティング」「クリエイティブ」の4つの項目において、広告配信ロジックに沿って基盤となる指標を作り、アカウントを最適化するというものです。今回の取り組みでは、この基盤指標をもとに、トランスコスモス様の持つ知見を加えた独自の運用診断シートを作成し、そこから起こすべきアクションを提示、さらにそれらの効果検証と担当者へのフィードバックをする、という一連の流れを整備し、高いレベルでの運用標準化を進めました。

ヤフー 松尾(以下、松尾):
これまでも、弊社営業から各代理店様に対して推奨の運用指標やアカウントの最適化に向けたご提案をさせて頂いておりましたが、トランスコスモス様は浸透や改善アクションのスピードがとにかく速く、もともと高い運用水準を維持されていました。そして、今回の取り組みでトランスコスモス様全体のさらなる運用力向上・標準化につながったと思います。

磯島氏:
恰好のよい事を言いたいところではありますが、実際にやっていることは、正直"泥臭い"です。これまで物事を推進する上で、運用者にも個性があるため資料展開や勉強会だけでは個々の進捗にばらつき出る事があり、それを課題として捉えていました。そこで考え方を改め、"全体に"をやめて"個別に"丁寧にやろうと。先ほどお話しした"定量的な評価基準"は機械的なのですが。でもそれを伝えるのも受け取るのも結局人ですので、そこは機械的であってはならないな、と。その考えでプロジェクト化し、責任者が運用担当者に個別ミーティングやテレカンを実施して進捗確認するなど近距離での運用サポートを意識して進めています。

- 実際にプロジェクトを進めた結果はどうでしたか。

トランスコスモス 山本氏

トランスコスモス 山本氏(以下、山本氏):
プロジェクトが始まってから、半月という短期間で数十のアカウントを定量評価基準で診させていただきました。フローは診断した後に各担当者へフィードバック→アクションリストの作成といった流れで、現状の理解と実施すべき施策立案までをフォローアップする形です。弊社は東西に拠点をもっていますが、「やるからには本気で」という事で、私も大阪に出向き、大阪メンバーと直接会話をしました。そのあとは各指標の上昇が驚くほど見られたので、プロジェクトでは直接的なコミュニケーションも大切だなと感じました。


磯島氏:
プロジェクトを進めるにあたっては、3つの点を意識するようにしました。
1.担当者が自分事に思えるように、レベルに応じた伝え方をする事
2.運用内容の可視化は、ダメ出しするものではなく運用担当者をフォローするためのものだという事
3.お客様のビジネス拡大に直結する"検索ニーズポテンシャル"をしっかりと伝える事

これらの3点にこだわるマインドを大切にしながら、もっと社内中に浸透させていきたいですね。

- 今回の施策が始動してから3か月経過しましたが、お客様からの反応はどうだったのでしょうか。

磯島氏:
一部のお客様からは、いまの状態や運用効果がわかりやすくなったとお言葉をいただきました。現場担当のかただけでなくお客様社内に伝えられるような共通指標や言語ができたのもよかったです。弊社は広告領域の他にコールセンターやサイト制作など様々なサービスをご提供させていただいておりますが、どの領域に関しても専門用語に偏る事なく、相手のかたにわかりやすくお伝えするというのがモットーですので。また、施策についても定量評価基準に基づいてロジカルな提案ができるようになったので、納得していただける事が増えたと思います。

山本氏:
日々の業務が定量的に可視化されるので、推奨設定の促進などは劇的に改善しました。また、誰がみてもわかりやすい内容なので、特に運用経験の浅い若手スタッフには役立っていると思います。スポンサードサーチでは一定の運用基準ができたので、次はYDNでも同様の取り組みを促進するため業務フローや見るべきポイントの整理を行っています。

今後の展開について


- 今後の展開についてお伺いします。

磯島氏:
現状の「各担当者へフィードバック→アクションリスト」という部分の自動化ですね。最終的には人が実施する事には変わりはないですが、できる限り過程のスリム化はしたいと思います。同じリソースでもフォローアップできる運用担当者、ひいては成果で貢献できるお客様の数を増やす仕組みを整えていきます。
合わせてアカウントの定量評価と個人評価のリンクです。個々が自発的に最良の形に向かえる仕組みをつくり、皆が納得して取り組めるようにしたいですね。評価を高めようとすれば自ずと統一された概念での専門性が高まる形。それによって"専門性の高い人"が生まれ、そこに"テクノロジーの強み"が加わる。 それが弊社のコーポレートビジョンでもある「people & technology」を体現する事になると思っています。

山本氏:
現在私が担当しているフィードバックや診断も、人の手によって行うため属人化しないようにしなければなりません。アクションに落とし込むところが一番難しいので、運用担当者が変わっても継続できる仕組み、体制を目指したいですね。


- ヤフーからみた連携プロジェクトの成功要因と今後の取り組みについて教えてください。

酒向:
一人一人が納得して自発的に動ける組織を作りあげて推進いただけたのが、成功要因として大きいのではないでしょうか。プロダクトのアップデートに伴いアカウント運用の最適な手法も、日々進化していくものと考えております。そのため、最適な手法を常にアップデートしていく姿勢を忘れずに日々改善していくことが大事だと思います。また、運用標準化の取り組みから得られた気づきは、広告プロダクトの開発にも活かしていきたいですね。ヤフーの開発側と代理店側が意見交換できる環境を整え、プロダクトの機能改善や運用効果向上につなげるのが私の役割だと思っています。

松尾:
大前提として"ヤフーにおける正解"をきちんとお伝えするのが私たちヤフー営業の使命です。ただ、改善指標を提示したところで、実際の運用担当者が納得してアクションできなければ意味がない。 トランスコスモス様では独自のルールを策定することで、プランナーの皆様にとってアクションプランをよりわかりやすく自分事化していただける仕組みを内製し、代理店全体の高度標準化を目指して取り組んでいただけました。今回の事例のように、広告会社様が自社の強みを生かして広告運用における組織課題を解決していただけるよう、弊社からのアプローチや連携もより強化していきたいですね。


■プロフィール

トランスコスモス株式会社
デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括
インターネットプロモーションサービス本部
磯島 大舗 氏

トランスコスモス株式会社
デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括
インターネットプロモーションサービス本部
山本 詠子 氏

ヤフー株式会社
マーケティングソリューションズ統括本部 営業推進本部
酒向 海
ダイレクト広告を中心に、ヤフーが推奨するプロダクトの標準的な活用方法の啓発活動や、エデュケーションなどに従事

ヤフー株式会社
マーケティングソリューションズ統括本部 第二営業本部
松尾 泉
広告会社の営業担当として、ヤフー広告商品の提案活動に従事。現在は、トランスコスモス株式会社と広告運用の高度標準化に向けた共同プロジェクトを進行中

企業・団体名
トランスコスモス株式会社(外部リンク)
所在地
東京都
従業員数
グループ:52,831名(国内:37,269名、海外:15,562名) 臨時雇用者(年間の平均雇用人員)を含む (2018年9月末現在)
事業概要
お客様企業の事業パートナーとして、売上拡大とコスト最適化を総合的かつグローバルに支援するアウトソーシングサービスを提供。デジタルマーケティングサービス領域はインターネットインフラを活用したマーケティング活動を支援。インターネットプロモーション、Webサイト構築・運用、オムニチャネルマーケティング、分析・リサーチサービスなどを提供。

(※当記事は2019年3月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名等は、取材時のものです。)